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軽自動車における燃費とエンジン出力の関係をみる

2020年2月8日

2020年1月期の軽自動車販売トップ15にランクインした車を、実際にカタログ数値だけを頼りに調査してみます

データは全軽自協HPhttps://www.zenkeijikyo.or.jp/statistics/tushosokuと各メーカーのHP上に掲載されていたカタログ数値から調べ、それをもとに作成しています

できるだけ条件をそろえるため、すべてで2WDを選択、ターボ搭載モデルは極力除き、燃費モードもできる限りJC08モードで調べました。ハイブリッド車については、モーター分を考慮せず、ガソリンエンジンの場合のみで比較します
計算については、燃費はカタログ値ではなく、実際の燃費で行っています
燃費投稿サイト「e燃費」https://e-nenpi.com/のデータに拠っています

燃費、車両重量、ボアストローク比(エンジンの傾向がわかる)の3つを軸に、燃費と重量とエンジンの傾向の関係がどうなのかを分析すると、以下のような結果となりました

ボアストローク比は行程÷内径で計算します
この比が1未満ならショートストローク、1ならスクエア、1を越えればロングストロークです

  • ショートストローク

ピストンが大きく、移動距離が短い(ピストンスピードを上げずに回転数を稼げる、トルクよりもスピード重視のスポーツタイプ)
低速時では回転が伸びにくいが、高速時では回転が伸びやすい
始動時は多くエンジンを回さないといけないが、スピードが出てくると加速しやすい

  • ロングストローク

ピストンが小さく、移動距離が長い(時間あたりのピストンスピードが速い、トルクを出せる、スピードよりはトルク重視型)
低速時ではトルクが出るので楽だが、高速時では回転が伸びにくい
始動時はエンジン回転数が低くても力でカバーできるが、高速時は加速しにくい

  • スクエア それらの中間の特性

これらを見ると、トップ15の車はすべてスクエア(ピストンの内径と行程が同じ)かロングストローク(ピストン内径が小さく、行程の方が長い)でした

そして、燃費の良い車ほど、ロングストロークの傾向があり、車両重量が軽いが、トルクの大きさとボアストローク比の数値の比率はほとんど一定でした

と言うことなので、軽自動車において燃費の良さは、エンジンの傾向ではなく車両重量が大きく影響していることがわかります

また、ロングストロークである車は車両重量が軽く、スクエアであるほど車両重量が重い傾向にあることもわかります

よく考えてみると、ロングストロークならば始動時にトルクがあるので楽に発進できます
始動時はスクエアであるほど不利になる

また、加速時はロングストロークであるほど燃費は不利になりますが、車両重量を抑えることでそれをカバーする傾向にあるらしいことがわかります

加速時、ショートストロークであるほど有利なのですが、車両重量が重い傾向にあり、その分燃費が悪化していることがわかります

では、なんでスクエアのエンジンに重い車体、という組み合わせなのか?
おそらく、高速時のスピードに重点を置いている車だから、というのが答えになると思います(あとは安全性?)

ロングストロークのエンジンに軽い車体の組み合わせは、燃費と実用性に重点を置いた車、と言えそうです

スクエア
デイズ(燃費29.8km/l、車両重量830kg)
ekワゴン(燃費29.4km/l、車両重量830kg)

ロングストローク
N-BOX(燃費27.0km/l、車両重量890kg)
タント(燃費27.2km/l、車両重量880kg)
ミライース(燃費35.2km/l、車両重量650kg)
アルト(燃費37.0km/l、車両重量650kg)

なので、もし人数を載せて走るのなら、ロングストローク型の方が燃料を節約できるし、スピードを重視したいのならスクエア型に乗った方がいい、ということになりそうです

ただし、軽自動車全般に、重量が増えると燃費はガクッと落ちます

デイズ、ekワゴンはスピード重視
N-BOX、タントはファミリー向け
ミライース、アルトは経済性重視

とはっきり色分けできますね

燃費を考えると、ミライース、アルトに大人数が乗る用途は向いていないし、N-BOX、タントを1人乗りで使うのは性能を持て余していることになり無駄が多い、となりそうです
また、街乗り用途ではデイズ、ekワゴンは比較的燃費を低下させるので向かず、高速移動が多い場合は本来の力を発揮する、となるでしょうか? スポーティな用途には適していそうですね

なお、本当はここにギアの比率も考えたりしないといけないのですが、今回省いています

  1. 軽自動車においては、回転数でスピードを稼ぐ傾向があり、トルクの大きさはそこまで重視していない
  2. 車両重量の軽量化とロングストローク化で燃費を稼ぐ傾向にある
  3. それは、日常使い、比較的高速運転しない、という軽自動車の使用範囲を想定しているから

となりそうですね

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