一般論を網羅して書いていくつもりで書きます。
テーマが特に絞られませんので、気になるところを読んでください。
Contents
- 1 タイヤの役割
- 2 タイヤに求められる性能
- 3 路面コンディションとの関係
- 4 タイヤのコンディションについて
- 5 よくいうグリップとは何か
- 6 柔らかさ、硬さ
- 7 その他の要素
- 8 主流のタイヤサイズ
- 9 性能の差
- 10 ゴムの性質
- 11 タイヤの鮮度=ゴムの鮮度
- 12 サイズの読み方
- 13 乗り心地とグリップの関係
- 14 メーカー指定のサイズを守る方がいい
- 15 タイヤのお手入れ
- 16 保管の方法
- 17 タイヤの危険サイン
- 18 充填される空気について
- 19 タイヤバルブは傷つけないで
- 20 バースト
- 21 パンク時の対応
- 22 タイヤの価格の差
- 23 天然ゴムの生産地
- 24 どんなタイヤを選べばいいの?
- 25 タイヤの性能の違いは
- 26 まとめ
タイヤの役割
車のパーツの中で唯一、路面と接するのがタイヤです。
タイヤ1本が路面と接する面積は、たったのハガキ1枚分、だそうです
タイヤに求められる性能
- 車重を支える
- 駆動力を伝える
- 衝撃を吸収する
- 方向を維持・転換する
これらのために、何が必要になるかというと、
- タイヤ自体の元々の性能
- 適正な空気圧
- 適正なタイヤの状態(過度の擦り減りがないか)
ということになります。
路面コンディションとの関係
まず、車が走ると受ける抵抗は3つ
- 車体などが受ける空気抵抗
- 加速時に慣性力によって生じる加速抵抗
- タイヤが受ける抵抗 → これが転がり抵抗
タイヤについていうと、この転がり抵抗が大事です。
転がり抵抗には3つの要素
- 走行時のタイヤの変形によるエネルギーロス
- トレッドゴムの路面との接地摩擦によるエネルギーロス
- タイヤの回転に伴う空気抵抗によるエネルギーロス
車は摩擦抵抗がないと走れません
摩擦抵抗がないと、車は走れません。
タイヤがくるくる回っているだけで、引っかかるものがなくなってしまうからです。
氷の上では、タイヤは引っ掛かり(摩擦)が少なすぎて前進するのが難しいですよね?
それと同じです。
車はどうして走れるか、というと、この摩擦抵抗があるから、です。
摩擦抵抗の度合いは摩擦係数によって表される
摩擦係数(μ)とは、タイヤと路面の接触面に働く摩擦力と、接触面に垂直に作用する圧力との比例定数
摩擦係数 = 摩擦力 ÷ 垂直抗力
(垂直抗力は物体の重さと同じ)
1kgのおもりを1kgの力で引っぱれる時の摩擦係数が1
もしこのおもりを500gの力で引っ張れれば摩擦係数は0.5
摩擦係数が小さいと、それだけ路面の摩擦力が小さい。
つまり滑りやすい、燃費性能が上がる、ということになります(止まる時は逆に止まる距離が伸びてしまうので、力が余計に必要になる)
摩擦係数は値が大きいほど滑りにくくなります。
舗装路のドライ路面 μ=0.8前後
ウエット路面 0.6〜0.4
積雪路 0.5〜0.2
氷結路 0.2〜0.1
なので、車が止まるかどうか、というのは路面のコンディションとタイヤのコンディションに左右される、ということです
ここで、路面のコンディションは運転者にはどうにもできませんよね?
なので、タイヤのコンディションが大事になってきます。
タイヤのコンディションについて
タイヤのコンディションとはつまり、転がり抵抗係数です。
車が止まる、ということは、摩擦(転がり抵抗)により、タイヤが摩耗する(すり減る)ことによって止まる、ということです。
転がり抵抗 = 転がり抵抗係数 ×(車両重量+乗員重量)× 重力加速度[9.8m/s2]
なんのこと?となりそうですが…
転がり抵抗とは、タイヤそれぞれが持つ滑りにくさ(転がり抵抗係数)に重さとスピードをかけたもの
さらにいうと、
転がり抵抗とは、同じ車で同じスピードならタイヤの滑りにくさ(転がり抵抗係数)に左右される
なので、
タイヤの止まりやすさを示す基準、それが転がり抵抗係数
となります。
なので、低燃費がウリのエコタイヤは、燃費性能は良いですが、制動距離が長くなる傾向にあります。
タイヤの抵抗は転がり抵抗が9割
転がり抵抗はゴムが変形することで増大します。
ということは…
空気がちゃんと入っていないとタイヤの転がり抵抗が増える、ということです。
ただ、入れすぎてもいけません。
空気を入れすぎると、転がり抵抗が減るかわり、今度は振動が増えます。
振動が増えたことにより、車体がブレる、そのことによるエネルギーロスが今度は発生します。
全体としてみると、タイヤには適正な空気圧を入れてあげないといけない、ということになります。
よくいうグリップとは何か
では、よく言われるタイヤのグリップとはなんでしょう?
グリップとはタイヤの摩擦力のことです。
縦方向と横方向があるそうですが、省略します。
柔らかさ、硬さ
タイヤの摩耗を左右するものの一つ、それが硬さです。
要は、車はタイヤが摩耗する(すり減る)ことによって止まる、ということですので、硬いタイヤほどタイヤが摩耗しやすい、と言えます。
タイヤの硬さを左右するものは、コンパウンドです。
コンパウンドとは混合物の意味です。
コンパウンドとしては、炭素の微粉末(カーボンブラック)や、硫黄、樹脂や油など数種類に及ぶ物質があります。
これらがうまく配合されることにより、タイヤの硬さ・柔らかさ、耐久性などが決まります。
その他の要素
タイヤ幅が広いと、接地面が増えるので、安定性が増し、グリップが強くなります。
代わりに、転がり抵抗が増えるので、燃費性能が落ちます。
サイドウォールが高いと、乗り心地が良くなります。
衝撃も吸収します。
薄いタイヤ(偏平タイヤ)は乗り心地が悪いですが、大口径で幅が広い傾向があるので、ブレーキキャリパーのための空間を大きくできるというメリットがあります。
ですが…
タイヤが熱を持ちやすくなるので、バーストしやすくなります!
つまり、見た目がカッコいいだけなので、あまりオススメしません。
偏平タイヤはスポーツカーに乗るときくらいにしておいてください。
また、空気圧は常に高めに入れてください。
バーストする危険がありますので、タイヤを薄くしすぎないでください。
長距離を高速で走る時は、適度に休息をとり、連続で走らない方がいいと思います。
主流のタイヤサイズ
軽トラック 12インチ
軽自動車 メーカー・車種により様々 13インチと14インチが主流だが、近年は14インチ化していきつつある
普通車 15インチ〜 こちらも大型化の傾向が強く、SUVでは18インチも多い
トラック16インチ〜 22.5インチというサイズが多い
性能の差
- 耐摩耗性
- ドライ性能
- ウェット性能
- 乗り心地
- 静粛性
- 低燃費性
など、タイヤに求められる性能はたくさんあります。
タイヤそれぞれに性能が違いますので、一概にはいえませんが、これはタイヤのコンパウンドの配合の仕方だったり、トレッドバターン(溝の模様)だったり、サイズも影響します。
ゴムの性質
タイヤは天然ゴムと合成ゴムから作られています。
天然ゴムの性質
弾力性があり、強度、伸縮性がよい。 耐熱性、耐油性、耐候性、耐オゾン性が弱い
ゴムの木の樹液から作られる
合成ゴムの性質
耐熱・耐油・耐薬品・耐摩耗性などに優れた合成高分子化合物の総称
石油を主な原料に化学合成で作られる
タイヤの鮮度=ゴムの鮮度
タイヤにも消費期限があります。
古いタイヤはコンパウンドの油成分が抜けてしまい、硬くなります。
これはタイヤとしては弾力性を失うので、バーストしたりする危険があります。
サイズの読み方
195/65R15の場合
タイヤの幅 195mm、
扁平率 65(扁平率とはタイヤの断面幅÷断面高さ)
ラジアルタイヤ
15インチ、であることを表す
他にもいろんな表記法があるので、ここでは紹介しません。
乗り心地とグリップの関係
タイヤには3つほど分類があります
- エコタイヤ
- コンフォートタイヤ
- ハイグリップタイヤ
乗り心地とは、衝撃吸収力にあり、衝撃吸収力とは、すなわちタイヤの硬さや扁平率やタイヤサイズや空気圧が関わってきます。
柔らかいタイヤほど、扁平率が高いほど、タイヤが大きいほど、空気圧が適切なほど、乗り心地は良くなるでしょう。
乗り心地で迷ったら、コンフォートタイヤを選んでおきましょう。
メーカー指定のサイズを守る方がいい
メーカー指定のサイズは、車の特性から考えて弾き出されています。
それは駆動力であったり、各種の走行抵抗であったりさまざまなのですが、それらから計算して適切なタイヤが採用されています。
なので、むやみにインチアップ・インチダウンはしない方がいいでしょう。
サイズを変えると、
- 車検に通らない
- スピードメーターが狂う
- 車本来の力を発揮できない
といったデメリットが生じます。
タイヤのお手入れ
タイヤはなるべく直射日光に当てない方がいいです。
できるなら、タイヤワックスを使ってお手入れすることをオススメします。
タイヤワックスを塗ると、タイヤの劣化を遅らせることができます。
タイヤワックスには水性と油性の2種類があります。
油性はタイヤを劣化させかねない成分を含みますので、水性のワックスを使いましょう。
保管の方法
タイヤを保管する時は、
- ホイールがついたままで
- タイヤの空気を半分くらい抜いて
- 平積みで(タイヤラックがあれば縦置きでも構いません)
- 直射日光が当たらないようカバーをかけて
保管しましょう。
タイヤの危険サイン
膨らんでいる
タイヤの側面が膨らんでいたら、それはバーストするかもしれない危険な兆候です
すぐに修理工場やタイヤショップでタイヤを交換してください
ゴムが擦り切れて金属が見えている
これも危ないです
タイヤが摩耗しすぎていますし、バーストする危険があります
空気が明らかに少ない
低い空気圧のままで走ると、タイヤを傷めますのでやめましょう
見分け方は、タイヤがたわみすぎているかどうか目視で確認することですが、できればゲージを使ってみた方が確実です
空気が多すぎる
振動の原因になります
乗り心地が悪くなりますので注意してください
充填される空気について
空気圧のこと
なぜ適正空気圧が求められるかというと、車体は空気圧で支えられているからです。
低いと走行に悪影響を及ぼし、タイヤも傷みます。
国産車の場合は運転席のドアを開けた時に柱部分にシールが貼ってありますので、その数値を見て判断してください。
大抵の場合、軽自動車・普通車共に180〜240kpa以内に収まるはずです。
窒素ガスのこと
スタンドで窒素ガスを入れてくれるところがありますが、はっきり言って入れるメリットはありません。
窒素を入れるメリットというのは、
- ガスが抜けにくい
- タイヤの劣化を遅らせる
- 外気圧の変化に左右されにくくなる
というメリットがあるとされますが、窒素ガスを入れたとしても完全にガスが抜けないというわけではありません。
タイヤの劣化も、ガスによる劣化は無視できる範囲だと思います。
外気圧の変化、と言っても、そんなに気圧が変化するような過酷な環境で乗る人が限られてきます。
さらに、空気の80%は窒素です。
メリットがあまりないのに4本入れると2000円くらい取られると思いますが…
私なら入れません。
タイヤバルブは傷つけないで
保管や移動させる時など、タイヤの空気を入れるバルブ(球根bulbじゃなく、弁valveの意味)は傷つけないでください。
空気もれの原因となります。
劣化していないかも、たまにチェックしてください。
バースト
バーストの原因はタイヤ側面(サイドウォール)の損傷、低い空気圧、の2つです。
側面はなんとなくイメージがつきやすいと思います。
縁石にタイヤを当ててしまい、傷をつけてしまった、という時です。
空気圧が低くてもバーストします
何故か?それは、タイヤが波打って、熱を持ちはじめるからです(スタンディングウェーブ現象)
熱を持った結果、タイヤを支えている構造物が傷んでしまい、バーストに至ります。
パンク時の対応
スペアタイヤを積んでおく
最近、スペアタイヤは積まれてないですよね。
パンクしてしまったら、スペアタイヤがあると便利です。
しかし、最近の車には、レイアウトと車両重量を抑えるため、スペアタイヤが入っていません!
不便ですよね…
気になる方は、1本、同じサイズのタイヤを積んでおくのがいいと思います。
パンク修理剤
そんなの面倒だ!という方は、車載のパンク修理剤を使いましょう。
使い方は、シガーソケットに修理キットのアダプタを差し込んで、修理液をタイヤに流し込むだけ。
ただ、これは1回使い切りなので勿体ないですよね…
自動車メーカーの再考を願います。
タイヤの価格の差
安いタイヤは実際どうなの?
海外製の激安タイヤは確かに安いです。
ただ…品質的には安心できないと思った方がいいでしょう。
信頼できそうな安いタイヤは、ハンコックとクムホだと思います(有名メーカーが技術移転している)
他は避けた方がいいです。
高いタイヤは何が違う?
高いタイヤの違いは、安全性の違いです。
さまざまなタイヤに求められる基準をクリアしています。
ちゃんと作るにはそれなりにお金がかかる、ということです。
タイヤが高いのは製造が難しいから
タイヤの作られ方
タイヤは製造に気を遣います。
不良品だと即、車の事故に直結するからです。
また、製造するのに面倒だ、ということもあります。
タイヤは、ゴムをパーツごとに整形し、それらをナイロン等でできた骨組みに貼ったり補強のベルトを入れたりしながら組み立て、最後にそれを一つのタイヤに整形して出来上がります。
海外生産
じゃあ、海外で生産すれば安いんじゃないか?
という意見もあると思いますが、実際に海外生産は行われています。
ブランドは日本でも、タイヤは外国製という場合もあります。
国内国外の差はほとんど無い、と言っていいでしょう。
タイヤの差は、そのタイヤのメーカー品質とグレードです。
天然ゴムの生産地
東南アジアに集中
タイとインドネシアで全体の半分を生産しています。
他に、マレーシア、中国、ベトナムなどがありますが、割合としては上記2国にはかないません。
ゴムの木は植樹後数年しないとゴムを採取できない上、気候変動や水害の影響を受けるので、急激な需要増に対しては対応はできません。
どんなタイヤを選べばいいの?
タイヤ選び
選ぶ際の問題は、ユーザーはカタログの謳い文句や値段でしか判断できないことです。
なので、あとは口コミやメーカーの信頼性でしか判断できないですね。
つまりわかりにくい。
ただ、言えるのは、
性能は値段に比例する、ということ。
また、基本的に、タイヤに掘り出し物はない、ということです。
(基本的に掘り出し物を狙う分野ではない)
いわば、生もの、刺身と同じです。
タイヤの性能の違いは
コンパウンドやゴムの素材の配合具合で決まるのですが、これはもうバランスの違いです。
- プレミアム ハイグリップタイヤ
- ハイグレード コンフォートタイヤ
- ミドルクラス エコタイヤ
- ベーシッククラス 普通のタイヤ
という分類をした場合、特徴はこんな感じです
ハイグリップタイヤ
スポーツ向け、硬い、値段高い、最も減りやすい、グリップがある
コンフォートタイヤ
高級セダン向け、乗り心地良い、静音性、柔らかい、値段は高い、減りやすい、グリップ中くらい
エコタイヤ
一般車向け、硬い、経済性、値段は中くらい、やや減りやすい(グリップは中くらい)
普通のタイヤ
一般車向け、 硬さは中くらい、値段安い、減り方普通、グリップ弱い
なので、
あんまり乗らない人はノーマルタイヤ
通勤で使う人はノーマルタイヤ、エコタイヤ、
高級車に乗っている人はエコタイヤ、コンフォートタイヤ
スポーツカーに乗っている人はコンフォートタイヤ、ハイグリップタイヤ
あたりがいいと思います。
自分の車の乗り方に合ったタイヤを見極めましょう
間違えないでもらいたいのは、価格が高いからと言って、用途と違うタイヤを履かない方がいい、ということです。
用途にあったグレードのタイヤを履いた方が、車の性能を引き出すことができるでしょう。
まとめ
タイヤは安全性を左右します。
また、タイヤはいわば巨大な消しゴムとでもいいますか、いずれ消耗していくものでもあります。
車に乗るということは、現状ではこの消耗品との付き合い方への考え方の現れです。
そんなものに金を払えるか! という方は、そもそも車に乗らない生き方をした方がいいです。
消耗品にお金をかける以上の収益が得られるから、みんな車に乗ります。
それは喜びだったり、楽しみだったり、経済的利益だったり…
その得られるものの大きさのためを思えば、やはりタイヤはきちんとした性能のものを買うべきです。
キビキビと走る車には、いいタイヤがつきものです。
タイヤそのものは必要、でも高い性能はいらないよ、という場合も、
管理はきちんとしましょう。
たった少し注意しているだけで、救える命があります。
タイヤはあなたと車を支えています。
だから、
タイヤには愛情を
そして、空気チェックを忘れずに。