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ガソリンの話

2020年1月19日

(お詫び タンカーの項目で一部計算が違っていました。お詫びして訂正します)

ガソリンについてです。物質としての特徴、価格、埋蔵量の他、ガソリンを取り巻く経済や政治についてもカンタンに触れます。

ガソリンはどうやってできたのか

ガソリンは、化石燃料です。

化石燃料とは、動植物の死骸で、化石となった有機物のことです。

太古の昔、何十億年も前に地球上に生存していた植物や動物の死骸が、地圧・地熱などの要因で変性されてできた、地中深くに埋まっていたドロドロの液体(原油)を、人間の手で精製してできたものです。

ガソリンは高いのか

 一般消費者にとっては、ガソリン?とにかく値段だけ知りたい!という感じでしょう(私もそうです)

では、ガソリンって、高いんでしょうか?それとも安いんでしょうか?

原油そのものの価格(国際指標から)

原油価格(1945-1983年はRas Tanura[サウジアラビアの最大の原油積出港〕の価格・1984年以降はブレント[Brent]原油価格、直近年物価調整価格、米ドル)

ガベージニュースより http://www.garbagenews.net/archives/2332069.html

これを見ると、オイルショックが起こるまでは1バレルあたり現在の3分の1くらいでした。

1バレルは42ガロン、158.987294928リットル、
2020年1月16日の原油先物価格は1バレル58.52ドルだったので…

1リットルでは0.368ドル!

この日の為替レートが110円14銭だったから、

1リットルでなんと40.53円!

この3分の1だった時代があるんですから、確かに安い時代がかつてあったということになります。

(参考)燃料の高発熱量比較

燃料kJ/gkcal/gBTU/lb
水素141.933.9 61,000
ガソリン47.011.3 20,000
軽油45.010.719,300
エタノール29.77.112,000
プロパン49.9 11.921,000
ブタン49.211.821,200
15.03.66,000
石炭 (亜炭)15.04.48,000
石炭 (無煙炭)27.07.8 14,000
天然ガス54.013.023,000

ウィキペディアより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E7%86%B1%E9%87%8F

これを見ると、水素は燃料としては別格で、よく発熱します。

それを除くと、ガソリンはトップクラスの値です。

さらに、ガソリンの原料である原油は液体なので、

  • 一度に大量に採掘できる
  • 運びやすい

ということも、ガソリンが重宝されてきた要因にあるかと思われます。

(採掘コストまではわかりませんでした。わかる方、ご連絡お待ちしております)

もしガソリンを木材と比較するなら…

継続的に木材を供給するのは大変そうですし、仮にできても液体ではないので給油するみたいには補給できません。

持っている熱量も3分の1くらい、となると、利便性に欠けます。

ガソリンは便利で高性能、安い、と言えるでしょう。

日本における燃料課税についてはこちら

世界の原油埋蔵量

さて、ガソリンはどれくらい埋まっているのでしょう?

よく、ガソリンが枯渇する、と言われ続けていますが、現在の予想では、あと57年とされています。

(石油連盟「今日の石油産業2017」よりhttps://www.paj.gr.jp/statis/data/data/2017_data.pdf

 ですが、大規模油田が発見されたりすると数字が変わるので、57年後どうなっているかはわかりません(埋蔵量についての予測は外れ続けてきた経緯がある)

日本へはどうやってくるか、地政学上の話

原油はどうやって日本まで運ばれてくるんでしょう?

現状では、タンカーしかないようです。

パイプラインがあればもっと安く油を運べるはずなので、ガソリンも安いはずなんですが、いまだにパイプラインができないので、タンカーに頼っています。

(もし、ロシアから天然ガスがパイプラインで運ばれてくるようになれば、日本国内のエネルギー価格は大幅に低下するでしょう)

日本は、1年間でおよそ15億6000万バレルを輸入していますが、原油輸入が一番多い中東(およそ全輸入量の90%)から運んできた場合、タンカーが何隻必要でしょう?

仮に、タンカー1隻に積める原油の量を20万トンとして、原油1リットルが1キログラムだったとすると、

1560000000 × 158.98 ÷ 200000 × 10000 ≒ 124

 年間で、中東から20万トンタンカーが120隻は来ないと、需要をまかなえない、ということになります

 タンカーの通り道

では、タンカーはどこを通ってくるか。

中東からの場合、以下のルートを通ってきます。

石油や天然ガスを運ぶ海路(シーレーン)

 日本原子力文化財団HPよりhttps://www.jaero.or.jp/sogo/detail/cat-01-04.html
 

中東から、ホルムズ海峡、マラッカ海峡を通っていきます。

ホルムズ海峡は政治的に不安定な場所、マラッカ海峡は大型船舶にとって海の難所、かつ、海賊被害の多いところです。

さらに、台湾近海を通ったりもします。

なので、政治的に不安定な地域を通らざるを得ない、ということがわかります。

生活に必要な原油の9割がこうした危険と隣り合わせの地域を通ってやってくるのですから、安定供給できていることがむしろ不思議なくらいだ、と私は感じました。
 

車が電動化していくと起こること

クルマの今後のトレンドの一つは電動化です。

エンジンがいらなくなりますので、ガソリンが必要なくなります。そうなると、世界的にガソリンの需要が落ち込むことが予想されますが、一体どうなるのでしょう?
 

政治的変化

国際的なパワーバランスが変わる(中東が重要でなくなる)

現在は石油で文明が成り立っていますが、もし、その石油の重要度が下がっていくと、どうなるんでしょう?

単純に考えても、タンカーで往復しなくてもよくなるわけですけれど、カンタンに言えば、石油がいらない、ということで、中東産油国に経済的打撃になるばかりか、政治的にも地位が下がっていくことが予想されます。

アメリカの関心低下で不安定化する?

これは現在、政治的に起き始めていますが、アメリカは自国でシェールオイルが出るので、中東への関心が低くなってきました。

この先は分かりませんが、重石がなくなってしまうので、政治的、軍事的に中東が不安定化していくかと思われます。

地球温暖化の進み方が緩やかになる

石油の需要低下、ということは、石油を燃やさないので、温室効果ガスが排出されなくなります。

なので、CO2排出量が減って、地球温暖化問題が改善するかもしれません。

もしそうなったら、きっと地球上の課題が一つ緩やかになるので、なんらかの変化が必ず起こることでしょう(代替エネルギーが温室効果ガスを排出するかもしれないので、これは未知数かもしれません)

今度は電気の起こし方で新たな環境問題の火種ができる?

電動化するのなら、今度は車をどうやって充電させるのか、ということが大問題になるはずです。

家のコンセントから充電するにしても、その電気は発電しないといけないですから、発電所をたくさん作ることになるのでしょうか?発電方法にもいろいろあるので、これは新たな課題になります。
   
   

経済的変化

ガソリンの重要度が下がる

 ガソリンが必要なくなる、ということは、重要じゃなくなる、ということなので、経済的に打撃を受ける部門が必ず出ます。

  • 精油産業
  • 化学産業
  • サービス産業
  • 海運産業
  • 海運関連産業

これらは、おそらく影響を受けるでしょう。

エネルギー構造の変化で産業が変わる

雇用が減る

 ガソリンスタンドをはじめとして、先ほどあげた産業での雇用は増えることはなく、減っていくだけなります。

新しい産業が起こる

 その代わり、車が電動化したことによる新しい産業が必ず興ります。
 雇用の面で言えば、新しくできてくる情報や広告やサービス関連の会社に雇用される人が増える、といったところです。

身近な変化

 ガソリンスタンドが減る
 ガソリンエンジン車の需要が減る
  
ということは、車関連のサービスをしている人々の必要数は今よりも少なくなる、ということです。

生き残っても、現行の形でのサービスは姿を変えざるをえないでしょう。

エネルギーの変遷からみる世界の歴史

縄文時代 火を使い始める
農業革命 古代四大文明 エネルギーとして森林などを伐採する、水力を使う
産業革命 近代産業革命 水力、石炭、ガス、石油を使う

また、産業革命を4つに分類する考え方もあります
  情報革命
 第一次 18世紀末〜 水力や蒸気機関による工場の機械化
 第二次 20世紀初頭〜 分業に基づく電力を用いた大量生産
 第三次 1970年代〜 電子工学や情報技術を用いたオートメーション化
 第四次 IoT、ビッグデータ、AIといった技術革新を用いたスマート化

エネルギーの変遷によって見ると、文明とエネルギー使用量はリンクしていそうですね。


現代は、それが行き着くところまで来て、今度は情報を使いこなすことによって生活のあり方を変えていく、情報へのシフトが起こっている、と言えそうです。

一人当たりのエネルギー消費量の変遷

最後に、全世界のエネルギー消費量の動きを見ます。


世界のエネルギー消費量と人口の推移

(出典)United Nations,"The World at Six Billion"United Nations,"World Population Prospects 2010 Revision"Energy Transitions: History, Requirements, ProspectsBP Statistical Review of World Energy June 2012BP Energy Outlook 2030: January 2013

 資源エネルギー庁HPより
 https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2013html/1-1-1.html

見ればわかる通り、時代とともにずっと右肩上がりで増え続けています。

文明の進歩は、エネルギー消費量の増加を伴っています。

今後も、このエネルギー消費量は増え続けていくのでしょうが、車にガソリンを使わなくなっていくと、もしかすると先進国においては減少に転じる可能性もあるかもしれません。

まとめ

以上、簡単にまとめました。

仮に、便利さの追求のために文明が起きたのだとすれば、ガソリンもまた、便利さを実現するために使われているもののうちの1つになります。

そのガソリンも、いつまでも主役であり続けるわけではないみたいですね。

また、いままでガソリンを前提に出来上がっていた政治経済もまた、変化してきそうだ、ということが分かります。

私たちの子孫は、どんな車に乗って、どんな燃料を使って生きていくんでしょう?

そして、その時、燃料の周辺には、どんな社会構造が作られていて、どういう形で燃料は生活に影響を及ぼしているんでしょう?

未来のことはこれ以上なんとも言えませんが、ただ、今を生きる私たちにいえるのは、

 変化を止めることはできない。変化を受け入れ、変わり続けることが大切

ということでしょう。

なぜ内燃機関にはガソリンが使用されているのか

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