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クルマとマスメディアを考える

2020年3月20日

運転の相棒といえば、音楽があります

特に、音楽がそれほど気楽に持ち出せなかった時代においては、カーラジオが果たした役割は大きかったはず

今回は、そんな車を取り巻くマスメディア、とりわけラジオについて考えます

マスメディアとは?

マスメディア

受け手である大衆に対し、公的空間を使用して、公的・私的な情報を一方的に伝達する装置のこと。マスメディアには新聞、出版、テレビ・ラジオなどの放送、映画がある。

1対1
新聞、出版
1対多
テレビ・ラジオ・映画

マスメディアの始まりは印刷

活版印刷が始まったことにより、印刷メディアが生まれました

世界史的には15世紀半ばにグーテンベルクが活版印刷を発明した、とされています

なお、世界で最初に金属で活字を作る技術は、13世紀の朝鮮半島(高麗時代)においてである、とされています

その後、李氏朝鮮の時代になると、1403年(太宗の時代)に金属活字鋳造所が造られ、次の世宗の時代には書籍の出版が盛ん行われていたようです(訓民正音の発明も行われた時代であり、朝鮮半島の文化の高さをうかがわせます)

ヨーロッパのグーテンベルクによる活版印刷術が実用化されるのは1450年代であり、普及するのは16世紀の宗教改革の時代です

通信メディアの誕生

技術的な歴史
1844年 サミュエル・モールスのモールス信号による電信サービス開始される
1871年 アントニオ・メウッチが電話の最初の特許を取得する
1876年 グラハム・ベルによる電話の特許が成立する
(電話線による放送の試みが各地で起こる)
1895年 マルコーニが電波による無線通信の実験に成功
1920年 世界最初の商業ラジオ局であるKDKAがアメリカ合衆国・ペンシルベニア州で開局
1922年 アメリカでラジオブームが起き、以後ラジオは急速に普及
(1920年代にテレビ放送の開発が各国で行われる)
1926年  浜松高等工業学校の高柳健次郎が電子式テレビ受像機(ブラウン管テレビ)を開発、「イ」の字を表示させる
1929年 英国放送協会(BBC)がテレビ実験放送開始
1930年代 テレビ試験放送がはじまる
1932年8月 - イギリスで世界初の定期試験放送開始
1939年 日本でテレビ実験放送開始
1941年3月 - 米国でNTSC方式の白黒テレビ放送開始
1953年 日本放送協会(NHK JOAK-TV)のテレビ放送開始、日本での地上波テレビ放送が開始される

1990年代後半から インターネット利用の普及による既存マスメディアは衰退を始める

通信メディアの利用のされ方

電話は当初、通話目的ではなく、コンサートを遠隔地において聴くことができるようにする目的が期待されていた、といいます

現実には、現在に至るまで、個人間の私的な通話、という用途に落ち着いています

ラジオは、民間利用のほかに、政治目的で使われる側面がありました

ヒトラーは、国民ラジオVolksempfängerを低価格で生産させ、国民に所有させました。ヨーロッパの他の放送局のチューニングはできないよう設計されていて、ヒトラーのプロパガンダのみを放送する手段として、ラジオは使用されました(ラジオ普及率は当時ドイツが世界一)

アメリカにおいては、ルーズベルトは毎週日曜日に「炉辺談話」という、大統領が国民へ直接語りかけるラジオ番組を放送しました。ルーズベルトが不況克服を約束して就任した1933年,ラジオを利用して世論を喚起、操作した例です

マスメディアが、宣伝やプロパガンダという面で使用された例です

車におけるマスメディア

技術的な問題から、車においてマスメディアはラジオ以外、利用できない時代がありました

テレビ
車載用のテレビが登場した時期は特定できなかったのですが…

12Vで駆動する車載用ブラウン管テレビは存在しました

(再生専用の車載用VHSビデオデッキ、アナログ電波受信用のダイバーシティアンテナまでありましたね)

アナログテレビ放送と液晶画面の組み合わせの製品は1997年ごろにはあったようです
なお、

地上波デジタル放送と車載用デジタル液晶テレビのコンビの登場は、2011年以降です

デジタル化が進んだことで、車内でテレビを見ることが簡単にできるようになりました

ラジオ
車載用ラジオは、1930年代にはすでに存在していたようです(ただし、真空管を使用していた)

その後、トランジスタの発明など技術革新が進んだことで、小型で高性能のカーラジオが手に入るようになりました

FM放送が一般的になったのは、NHK-FMがFM全国放送を開始した1969年以降になります

その後、デジタルラジオなども登場しましたが、普及しませんでした

インターネット上で同じ内容の番組を放送するサイマル放送が近年では行われています

聴取形態としては、ラジオはおそらくこれ以上変化することはないのかもしれません

車は運転しなければならないので、音声を聴く、映像を流しっぱなしにするのが限度で、集中して文字を読むことは馴染まないようです(運転手以外に対してはいいかもしれませんが…)

運転しないのなら?

おそらく、自動運転時代になると、車の世界にはデジタルサイネージ(電子看板広告)のようなものが参入してくることは確実です

また、車内で新聞を読むようなサービスも現れるかもしれません

どちらにせよ、

運転しながら聴くことができ、情報も得られるという点で、車においてはラジオが適している、といえるかと思います

インターネット

マスメディアも、インターネットの登場によって立場を脅かされています
車においても、インターネットがますます重要になります

ただ、
どういった形態で使われているか、というと、車にスマートフォンを持ち込んで、という形が多いです

仮に、車に通信機をつけ、通信カードを差し込んで通信業者と契約して通信するようになるとしたら…

車がスマホ化することになりますね

そうすると、位置情報が共有できるので、車の渋滞情報を収集したりして渋滞緩和に役立てることができそうです

他にもメリットは多いですし、そもそも一方通行のラジオではなく、オンデマンドで音楽をインターネット経由で聴くことができるようになるのは大きな進歩となることでしょう

問題は、通信電波が日本中届くように、基地局を整備する必要があることですが、現行でも人口カバー率はかなり高い(名目ではカバー率99パーセント)ですので、市街地を走っている限りは通信はできる状態だと思われます

(空想論ですが)
車用のネット通信料を負担してくれる放送サービスが現れるかもしれません
そして、各車が電波を受信し、それを増幅して公衆無線LANにしたら、日本でインターネットがつながらない場所はかなり減るのではないか、と思うのですが…

まとめ

過去のマスメディアは、インターネットの登場で大打撃を受けています

インターネットの破壊力は凄まじいものがあり、すべてのマスメディアを代位できる可能性がある、ということです

マスメディアは、大衆に娯楽を提供しますが、一歩間違うと大衆操作にも使われます

メディアリテラシーを身につけ、何が正しいか、何が正しくないかは自分で判断できるようになっておきましょう

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