内燃機関を搭載している車は、どの車にもマフラーがついています。排気ガスを逃すため、というイメージが強いですが、実は排気ガスを浄化したり、音を軽減したりする役目も担っています。詳しくみてみましょう
マフラーの機能
ガスを排出する
浄化機能
音を小さくする
マフラーは、途中のパイプの直径を変えたり、レイアウトを変えることにより排気効率に影響を与えます。また、エンジンの吸排気系にも関わるので、エンジンの出力にも影響を与えます
また、マフラーの途中には排気ガスを浄化する触媒が取り付けれています。これがあることで、有害なガスを無害化して排出することができます。三元触媒と呼ばれるもので、貴金属であるプラチナ、パラジウム、ロジウムを使って、排気ガス中の一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物を無害な物質に変えます
さらに、マフラーはエンジンから排出される高温高圧の排気ガスを冷やし、圧力を下げることによって排気音を抑制する機能も持っています
浄化効率
マフラーの触媒は、理論空燃比14.7の時に、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物の浄化効率が最も良い、とされています
最近では環境規制が厳しくなっています
車が電子化しているのも、理論空燃比に近い状態で走らせるための努力であり、それは排気ガスをキレイにするため、という目的も含まれています
マフラーの規格
交換用マフラー市場における品質維持のために、騒音防止性能等を予め確認する機関を登録する制度があります。登録を受けた機関(登録性能等確認機関)が性能等を確認した型式のマフラーには、「性能確認済表示」を表示することになっています
この登録を受けている機関は、平成22年12月18日の時点では以下の4機関です
- 財団法人日本自動車研究所(JARI)
- 株式会社JQR
- 財団法人日本自動車輸送技術協会(JATA)
- 一般社団法人JMCA(ただしこちらは2輪のマフラーを主に扱っているようです)
国土交通省HPより http://www.mlit.go.jp/common/000111481.pdf
実際、車検ではマフラーの刻印までチェックされます
これによって、違法なマフラーかどうかをチェックしています(騒音のチェックも行われることがありますが、著しい改造が行われていない大抵の車は刻印のチェックだけで済みます)
マフラー性能等確認機関(4輪)
JARI(一般財団法人日本自動車研究所) 自動車に関する総合的な研究を行う試験研究機関
JATA(公益財団法人日本自動車輸送技術協会)自動車の使用および整備に係わる技術的な試験や研究を行う機関
JQR(マフラーの性能認証を行う民間企業)
マフラー業界団体
JASMA 日本自動車スポーツマフラー協会
(自動車スポーツマフラーの普及促進を図るため日本国内の自動車マフラーメーカーにより設立された団体)
なお、たまにFUJITSUBOやHSTというステッカーを貼ってある車を見ることあると思いますが、これはマフラーのメーカーの名前です。規格ではありません
JIS規格とPanasonic、SONYといったような感じです
改造車
部品を交換するなどして車を市販の状態ではない状態にすれば、その全ては広い意味で改造車と言えるかと思います
実際には、車には保安基準という、法律上最低限守らなくてはいけない安全の基準が定められていますが、この範囲に収まっていないことを、一般的に改造車と呼びます
重量と寸法が一定許容範囲を超えた場合、陸運局で検査を受け、車検証上では記載変更を行うことで、認定改造車として走ることができます(記載変更)
自動車の構造に関する部分について改造を施している場合、改造の概要を説明する書類を作成して審査を受け、運輸支局等に現車提示を行って構造等変更検査(いわゆる改造車検)を受ける必要があります(構造変更)
不正改造車とは、改造車のうち道路交通法や道路運送車両法の保安基準に適合しない改造を施している場合、または、車検証の内容と異なる状態にある自動車やバイクのことをいいます
違法改造を施した状態で公道を走行すると、警察に検挙されます
マフラーには、騒音防止性能等を予め確認する機関を登録する制度があり、その期間が発行した「性能確認済表示」によって、不正なマフラーかどうかを判断しています
なお、改造車は任意保険に加入できない場合があります。車検証上の車両型式に「改」の文字が入っていると、そう判断されてしまう場合があります
マフラーの素材
マフラーの素材は、鉄、ステンレス、チタン、カーボンなどが使われます
値段や耐久性に差があります
マフラーに穴が空く理由 水とサビの問題
マフラーから水がポタポタと落ちているのを見たことがある方もいらっしゃると思います
これは、排気ガスには水分が含まれているからです。燃料は炭化水素HCであり、これが燃焼するときに空気中の酸素O2と結びつくことによって水H20ができます
高温の時は液体の水の状態ではありませんが、マフラーによって冷やされ、温度が下がると、液体の状態になります
また、排気ガスが触媒を通った後も、水が発生します
そして、この水が溜まった状態になると、そこから鉄やステンレスをサビさせることによって、内側から腐食が始まり、やがて穴が空いたりします
長い距離を走れば、この水分は蒸発したりして排気と一緒に出ていくので、マフラーの保護のためにも車の乗り方に気を配ってみてはいかがでしょう?
マフラーはどのように取り付けられているか
マフラーは、パイプの連結部分はボルトとパッキンによって繋がっています。ボルトで止められ、ガス漏れ防止のために連結部の間にパッキンが入っている、というイメージです。
他のマフラー自体の固定は、吊りゴムと呼ばれる部品でつながっています。ボディ下側のマフラー周辺には吊りゴムを通す突起があり、そこにマフラーとつながっている吊りゴムを通すことで、マフラーを宙に浮かせながら固定しています
この吊りゴムがないと、排気の振動がボディに伝わってしまうばかりでなく、廃棄の熱まで伝わってしまうことになります
騒音の問題 保安基準
保安基準では、マフラーの騒音の基準は、マフラー出口に測定器を置く「近接排気騒音」という測定条件で測ったとき、普通車の場合は96db、軽自動車の場合には97db以下、とされます
古い年式の車の場合はまた少し数値が変わります
2010年3月31日までに生産された車の場合、だいたいの車は96dbから103dbの間です
音の質とは何か?
音は3つの要素があるそうです
音の大きさ 音波における波の幅の大きさ
音の高さ 音波における周波数
音の音色 音波における波形
マフラーも、高級車になるとその音の開発も要素として大きくなるようです
交換用マフラーも、マフラーの性能の中にこの音の要素が関わってきます
どうせなら、カッコイイ車に乗るなら見た目だけでなく、音までカッコよくしたい!
という方は、マフラーを交換してみるのもいいでしょう
ガソリン車が無くなったら?
車が内燃機関ではなく、モーターで動くようになれば、マフラーはいらなくなります
もしかすると、100年以上先の未来では「マフラーって何?」というくらいに車のパーツとしての認知度が低下している可能性もあります
全くなくなることはないでしょうけれど
節度をもって乗りましょう
マフラーを交換したい、という場合は、「性能確認済表示」があるマフラーを使用しましょう
また、保安基準に適合するように、きちんと取り付けてもらいましょう
不正改造をすると、法律違反で警察につかまります!