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クルマのブログ

トルクとは何か

2020年2月7日

 

 

よく聞くトルクという言葉。でも、トルクってなんでしょう?馬力との違いなどを交えながら解説します

 

大事な計算式

出力 = トルク × 回転数

 

トルクとは

力の量(力のモーメント)

 

力を加えた時、その量を表す数字で、単位はN・m(ニュートン・メートル)

力(ニュートン)× 移動距離(m)

なので、トルクは力の量を表し、エンジンの力を表す

 

馬力とは

出力のこと

出力 = トルク × 回転数

 

なお、

1馬力は
1秒間に550重量ポンド (lbf) の重量を1フィート (ft) 動かすときの仕事率
550 lbf·ft/s

 

つまり、言い換えれば

馬力(出力)とは仕事率のことで、トルクを一定期間あたりの回転数(移動距離)でかけた数字

 

つまり、出力(馬力)とは力の効率のことで、スピードに関係する

 

ちょっとまとめると…

  • 「馬力がある」という時は、つまり「効率がいいですね」と言っているのと同じ
  • 「トルクがある」という時は、つまり「力が大きいですね」と言っているのと同じ

 

それを、日々慣用的にごちゃ混ぜにしてしまうのでわかりにくくなってしまうわけです

  • 馬力という言葉を、回転数の要素を考えないで使ってしまう
  • トルクという言葉を馬力と同じ意味で使ってしまう

ことに問題が潜んでいるように思います

 

理解を深めるために、いろいろなたとえ

エンジンや車を評価する時に、トルクというのはエンジンそのものの力を表し、スピードは実際その力をどれくらい発揮できるか(エンジンそのもののの力に回転数をかけたもの)ということになるわけですが、例をいくつか示します

 

例えば、

エンジンを思い浮かべてください
エンジンはピストンが繰り返し動いていますよね
トルクというのはピストンを押す力の量で、回転数はそれが何回繰り返されるか
その結果が軸を回す仕事の効率(出力)

というイメージです

 

あるいはラグビーを思い浮かべると、
バックス(スリークウォーターバック)は足が早い人が担当していることが多い、スピード重視(馬力、出力)
フォワード(スクラムフォワード)はスクラムを組んで押し込むことが多い、力重視(トルク)

 

いわば、スピードが早くて力がない、ということもあるし、スピードが遅くて力がある、ということもあるわけです

 

出力=トルク×回転数なので、
回転数を上げれば出力を上げられますが、低回転域では力が足りない
力があっても、回転数を上げられなければ、出力が足りない
ということになります

 

いわば、出力とトルクは、回転数を挟んでの因果関係になるわけです


一定の回転数ならば、トルクが大きい(慣習的に『太い』ということが多い)方が出力(スピード)は大きい

 

一定のスピードならば、トルクが大きければ回転数は少なくて良い、あるいは
一定のスピードならば、回転数が大きければトルクは小さくても良い


 

となります

 

トルクと回転数はそれぞれスピードの要素

ということです

 

スピードとトルクをごっちゃにしがちですが、スピードは結果であり、トルクはそれを決める要素でしかありません

 

トルクが必要とされる用途もあれば、スピードが必要とされる用途もあります

  • トルク重視 トラックなど
  • スピード重視 スポーツカーなど

 

重たいものを運ぶ場合
トルクが低い車では、重たいものは運ぶのに苦労します

 

レーシングカーの場合
スピード重視ならば、力の強さも必要だけど、エンジンを高回転させる必要もありますよね
だったら、力がなくても高回転であればいい
力が比較的弱いとしても、回転を上げることでスピードに反映できる

 

となります

 

トルクを上げるには

では、どうやってトルクを上げるか?
エンジンを思い浮かべると…
出力を上げようとする場合、
まずシリンダーがあり、ピストンがありますね
そして、燃料が噴射され、
それがピストンにより圧縮され、
点火されて爆発し、燃焼ガスが発生する
の繰り返し(回転数)
なわけです

 

なので、
燃焼室の大きさを変えるか(排気量)、混合気の量を変えるか、熱効率(圧縮比)を変えるか、
という選択肢があるわけです

 

出力(スピード)を上げるには

また、出力を上げようとした時、回転数をあげればトルクの量はある程度上限があってもなんとかなりそうです

その場合、回転数を上げるためにピストンが効率よく回るようにストロークを浅くする(ピストンの移動距離を短くして回転を速くできるようにする)ということもできます

 

そしてトルクを上げる

 

これで出力は上げられることになります

 

ジレンマ

まとめると、

燃焼室(容積)を大きくする トルク増加 ただし、エンジン大型化、騒音
混合気を薄くする(比熱比を上げる) トルク増加 ただしノッキング起きる、発熱しすぎる
圧縮比を上げる  トルク増加 ただしノッキング起きる、発熱しすぎる、騒音
ストロークを浅くする(ショートストローク) 回転数増加、ただし、圧縮比上げにくいのでトルク低下

 

となりそうです

 

このように、何かを伸ばすと何かを犠牲にしなければならなくなる、というバランスの上にエンジンが設計されるわけです

 

エンジンごとの特徴

ガソリンエンジン トルクよりも回転数を上げやすい=スピード上げやすい
ディーゼルエンジン トルクはあるが、回転数は上げられない=重いものを運ぶのに良い
モーター 低速時のトルクが大きく(太く)、高速時はトルクが減少する(細い)

 

という特徴があります

 

 

カタログを見るときは

内径 × 行程 内径に対して行程が深ければロングストローク、短ればショートストローク
総排気量 エンジンの燃焼室の大きさ
圧縮比 熱効率を上げるための圧縮の度合い、燃焼エネルギーを取り出す率
最高出力 エンジンが出せる力の効率、スピード
最大トルク エンジンそのものの力

 

なお、ロングストロークエンジンはトルク重視、低〜中回転域低めを狙う
ショートストロークエンジンはスピード重視、高回転域を狙う

 

という違いがあります

エンジンを評価するとき、

同じ排気量でスピードを重視するなら、

最高出力、内径 × 行程の行程、最大トルクを最低限チェック

 

同じ排気量でトルクを重視するなら、

最高トルク、内径 × 行程の行程、圧縮比を最低限チェック

 

することで判断ができるでしょう

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