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クルマのブログ

車検整備の実際

2020年1月15日

これは、認証工場での車検整備の流れです。

設備の関係上、これらの工程のうち一部を省かなければならない工場もあります。

逆に、もっと細かく整備している工場もあるはずです。

車検整備の流れ

引き取り、あるいは入庫

まずは車がないことには始まりません 。

お客さんのところまで車を取りに行く、または持ってきてもらうかのどちらかです。

連絡行き違いだったり不在だったりして引き取るまでに手間取ることがあります。

入庫待ちであってもなかなか時間通りに入ってこないこともあります。

工場に戻ったら

車検証を出して事務の人に車検場の予約を入れてもらったり書類を書いてもらったりします。

車検証が見つからない場合もあります。

見つからないと探すのに手間取ることが多いですので、わかりやすいところに出しておいてもらえると大変助かります。

事務の人はここから、納税証明書を取りに行ったり、自賠責保険の手続きをしたりします。

納税証明書はいまだに軽自動車の車検に必要です。

普通車は基本的に要らなくなりました(オンライン化されたため)

なお、自賠責保険の取り扱いや発行には、保険の取り扱い免許が必要ですので、免許を持たない人が自賠責保険を取り扱うことは禁じられています。

リフトアップ

ざっと外観を見てチェックしたら、オートリフトに載せて車をリフトアップします。

車にも個性がありますので、リフトアップに苦労する車もあります。

受入検査

  • 下回りをチェック
  • 油漏れ・水漏れ
  • ブレーキパッド
  • ゴムのカバーの劣化・破れのチェック

スチーム洗浄

下回りを高圧スチームで洗浄します。

軽トラックなどの場合、洗浄すると体が泥だらけになったりします。

汚れ落とし、付着した塩カル落としの意味があります。

整備

足回りブレーキ

最重要箇所です。

ブレーキを分解します

 まずリアから

  •   ドラムブレーキのことが多い
  •   ブレーキシューの減り具合をチェックする
  •   ブレーキフルードが漏れていないかチェックする
  •   プレートとブレーキシューの接触部にグリスを入れる
  •   ブレーキシューとドラムの隙間を調整する
  •   全て元に戻す
  •   サイドブレーキを引いてみて、引きしろをチェックする
  •   甘かったらもう一度調整

 次にフロント

  •   ほとんどの車がフロントはディスクブレーキ
  •   分解してブレーキパッドの減り具合をチェックする
  •   キャリパーのピストンの動きをチェックする
  •   ゴムの破れをチェックする
  •   ブレーキパッドの両端の摺動部にグリスを入れる
  •   全て元に戻す

 ブレーキフルードの交換(エア抜き)

  •   2人1組で行う
  •   リアからエア抜き
  •   フロントもエア抜き
  •   エア噛みしていたらもう1回行う

 タイロッドエンドカバーの状態

  •   破れているかチェック

 シャフトカバーの状態

  •    破れているかチェック

エンジン

エンジンオイル、フィルター(エレメント)

  •  交換時期が書いてあるステッカーを見つけて、走行距離を元に判断
  •  実際にレベルゲージも引き抜いて油量のチェック(汚れ具合もわかる)
  •  必要に応じてオイルフィルター(エレメント)も交換する

点火プラグ

  •  走行距離や過去の整備履歴を元に判断する

  イリジウムプラグ 10万キロくらいまでOK

  普通のプラグ  普通車は2万キロ、軽自動車は1万キロが目安

  •  イグニッションコイルを取り外す

 プラグを取り外す

 プラグの状態のチェック(判断基準があります)

  交換する場合 新品と交換する

  交換しない場合はそのまま元に戻す

なお、プラグが緩んでいる場合があるので、交換するつもりがなくても締め付け具合をチェックした方がいいです

冷却水

 サブタンクの液量

 ラジエーターからの漏れのチェック

ウインドウウォッシャー液補充

ベルト

緩み、ひび割れのチェック

バッテリー

バッテリー電解液の液量のチェック

ターミナル、バッテリーステーの締め付けのチェック

 (私は比重計はバッテリーがとても弱っていた場合に使用していました。電圧計他を使ってチェックする場合も同様です)

タイヤ

タイヤの摩耗の具合(基準があります)

タイヤの空気圧(私は240kPa入れることにしていました。例外を除く)

全部終わったら下回り防錆塗装

タイヤを取り付け、リフトからおろし、ホイールナットを増し締めして整備終了

ライン検査

速度検査

スピードメーターとの誤差を測る

サイドスリップ検査

トーイン・トーアウト調整

ヘッドライト調整

車検で落ちる可能性が高いポイントです。

打鍵検査

打鍵用のハンマーで叩いた音でボルトの緩みをチェックする

外観・車内チェック

フロントガラス、ウインドウ

 割れていないか

  飛び石による窪みなら、相当ひどくない限りは車検には通ります。

ウインドウについてはきちんと開閉するか

 開閉しない場合

  マスタースイッチか、アクチュエータの故障

  (大抵はマスタースイッチの故障ですのでスイッチの交換)

   アクチュエータの場合は大変な作業になります…

ヘッドライトやテールランプのレンズの割れ、破損、色あせ

シートベルト警告灯のチェック

  点灯していなかったり反応しないことが割と多いです。

その他メーターの電球切れのチェック

発煙筒のチェック

  発煙筒が入っていないと車検に通りません。逆に、入ってさえいればOKです。

ライト周りのチェック

 ブレーキ灯、ナンバー灯、交代灯、方向指示灯などがきちんと点灯するか

規格寸法のはみ出し

  余程変な改造車じゃない限りは寸法に収まります。

  タイヤがホイールの関係ではみ出していることの方が多いです。

その他保安基準に外れるような著しい破損が無いかどうか

車検場へ持っていく

陸運局まで行く

普通車と軽自動車は組織が違い、検査場も同じ敷地ながら分かれている

整備振興会の建物にて

車検の予約確認を受ける

  事前にしておいた予約の受付のスタンプを押してもらいます。

重量税印紙を買う

  普通車の場合、自動車検査証紙を貼ればいい

  軽自動車の場合、検査手数料を協会事務所まで支払いに行く

検査ラインに並ぶ

繁忙期は1時間待ちなんてこともあります

検査を受ける

 検査にもテクニックがあります。

合格したら

 検査証などの書類を全て持って普通車は陸運局の窓口に持っていく 車検証をもらう

 軽自動車は軽自動車検査協会に持っていく 車検証をもらう

不合格なら

 普通車の場合、検査証などの書類に限定検査証発行のハンコを押してもらい、陸運局の窓口で限定検査証を発行してもらう

 軽自動車の場合、軽自動車検査協会に書類を持っていき、限定検査証を発行してもらう

いずれも後日、整備しなおして再び車検を受ける

車検場から帰ったら

車内の掃除、洗車、ホイールナットの増し締め確認などをする

納車

 納車して業務完了となります。

 工場まで取りに来てくれる場合もあります。


これが一連の流れになります。

民間車検場の場合は車検場まで往復する手間が省けるので時間的に少し楽になるはずです。

認証工場のメリットがあるとしたら、車検場までの往復が実質的には走行テストになるので、異常を発見することができる、というところでしょうか。

もちろん、公道を走るので事故の危険もありますし、車を乗り上げて傷つける可能性も増えます。

時間との勝負

いかがでしたでしょうか?

整備だけが仕事ではありません。

付随して書類を揃えたり、書式に従って用紙に記入したりする仕事があったりもします。

事務員さんを専門に雇った方がスムーズに行きます。

人手不足のため、事務員さんは保険、経理を兼ね、車検場で車検を受けたりすることもあります。

これを1日で行う場合、時間との勝負です いかに手早く済ませるかが鍵になります。

何でもそうですが、 手を抜かず、丁寧に行うことは難しいです。

仕事の完成度は、手を抜かないで丁寧に行う度合いをどれくらいのレベルで保つか、に尽きます

また、持続的にそれを維持できるかも重要となってきます

大抵は怠けてしまう部分が誰にでもあって、許される範囲で手抜きになってしまうものなのです。

100パーセントはないという前提で、じゃあ、どこまでを目指すの?ということです。

経営上のこともあるので、やりすぎると損をする、ということも言えます。

(これも難しいところです)

なので、クルマ屋さん選びは人選び、でもあります。

もしあなたが信頼できるクルマ屋さんと出会えたら、

あなたのカーライフはバラ色となること間違いなしです!

まとめ

今日も、クルマ屋さんは大忙しです!

車検の際は、作業がスムーズに行くようにしておいていただけると作業が捗ります。

車検証がわかりやすい場所においてあるだけでも作業がしやすくなりますので、ご協力をお願いいたします。