私が実際に整備していた時の印象から、軽自動車は車に負担がかかりやすい説の中身を検証します
エンジン
点火系のトラブル
プラグの劣化はそこそこあった
おそらく、最近の軽自動車はイリジウムプラグを使用しているためでしょう、プラグの交換は軽トラックでは頻繁に行いましたが、乗用軽自動車ではあまりした記憶がありません
イグニッションコイル(点火コイル)のトラブルに多く出会す
その代わり、イグニッションコイルが故障し、片肺(3〜4気筒あるエンジンのうちの1つが点火しない状態。出力不足で車が急に動きにくくなる)の車が結構ありました
特に、特定のメーカーではエコカーだったので、特殊な制御を行っていて、純正品を使わないと症状が治らなかったこともありました
エンジンオイルのトラブル
オイルが減っているのに走ったために、ターボを壊してしまう、という事例がいくつかありました。ターボ機構の潤滑にはエンジンオイルが使われているので、これがなくなると焼きついてしまいます(ターボのタービン回転数は毎分15万回転を超えます)
また、オイル関係のトラブルは軽自動車に多くあったように思います
冷却系のトラブル
ラジエーターのパンク
ごくたまにですが、ラジエーターがパンクして水漏れしている車が入ってくることがありました。これは、普通車よりも軽自動車で多かった記憶があります
排気系のトラブル
マフラー
腐っていたのは軽自動車ばかりです。穴が開くのはよくあることで、腐食が進んでボロボロになっているのも多かったです。マフラーパイプ交換の事例を普通車であまり見ることは無かったです
バッテリー
バッテリー交換
バッテリーの劣化も軽自動車は多かった記憶があります(普通車ではあまり交換した記憶なし)積んでいるバッテリーの容量が元々小さいのと、最近の車はカーナビなどの電装品を装備していることが多いから、ということもあると思われます
ブレーキ
ブレーキパッド
パッド交換も軽は多かったです。普通車と同じスピードを出しているのにブレーキパッドが普通車より小ぶりだったりするので、やはり減っていくのが早いようです
その他
タイロッドエンド
軽自動車で、衝撃でタイロッドエンド(前輪にある、操舵に関係する金属の棒の連結部分)が抜ける事例が多くありました
普通車では出会したことがありません
衝撃には軽自動車は強くない、と言えます
下回りのサビ
これもなぜか普通車にはあまりないのに、軽自動車には多くありました
道具として酷使するからなのか、それともコストを抑えるためにきちんと防錆処理していないのか…
ざっと思いつくだけでこれだけあります
軽自動車は、エンジン排気量が660ccなのに、車両重量は800〜1000kg
普通車は大体、1500ccならば車両重量は1200〜1500kg
パワーウエイトレシオ(重量÷出力)で見れば、軽の方が数字がよくないので、軽自動車は出力の割りに重い、ということになります
エンジンに負担がかかって当たり前ですね
なのでそれをカバーするために回転数を上げようとするので、エンジンオイルが減ってもおかしくない
さらに、短い距離しか乗らないと、マフラーに水が残って錆の原因になります
比較的長距離は軽よりも普通車で、という傾向があるとすれば、これが原因で軽自動車のマフラーは腐りやすいことになります
(考えてみれば、軽トラックで走る距離なんて、たかが知れてますよね。少なくとも、高速道路は走らないですし、畑というものは案外近場にあるのが普通です)
こうしてみると、軽自動車を長持ちさせるには、規格を変えてもらって大型のエンジンを積むようにするしかないのと、できるだけ長い距離を乗ること、この2点になりそうですね
それでも、車の寿命が平均13年まで伸びているのですから、技術革新のおかげ、と言えると思います