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クルマのブログ

税収に占める自動車税の割合とその将来

2020年1月12日

毎年送られてくる自動車税の通知、やはり税金が高いと感じますよね。

今回は、日本の税収に占める自動車税の割合とその将来がどうなるのかを考えてみました。

日本の税収に占める自動車関連諸税の割合

(今回、一般社団法人日本自動車工業会のHPより資料を引いています)

まず、2019年の国税と地方税を合わせた租税総収入は、

106兆5846億円

そのうち、自動車関連諸税は

8兆6287億円(8.1%)

注:
1.租税総収入内訳の消費税収は自動車関係諸税に含まれる消費税を除く。
2.自動車関係諸税の消費税収(自動車整備含む)は日本自動車工業会の推定。
3.消費税収には地方消費税収を含む。

資料:財務省、総務省

http://www.jama.or.jp/tax/outline/image_01.html

これは、固定資産税とほぼ同額、消費税の約2.5分の1、所得税の約2.3分の1です。

乱暴な言い方をすれば、生活実感として、日々支払っている消費税の2分の1くらいを車の税金として払っている、ということです。

では、自動車関連諸税って何?

ということになりますが…

取得段階(車体にかかってくる税金)

  • 購入時 自動車取得税 870億円
  • 購入時 消費税(車体課税分) 1兆6328億円

保有段階(車体にかかってくる税金)

  • 車検時 自動車重量税 6510億円
  • 所有しているだけでかかる  自動車税 1兆5902億円
  • 所有しているだけでかかる  軽自動車税 2699億円

走行段階(燃料にかかってくる税金)

  • 揮発油税 2兆3030億円
  • 地方揮発油税 2464億円
  • 軽油引取税 9537億円
  • 石油ガス税 140億円
  • 消費税(燃料課税分) 8807億円

となります。

全体をざっくりまとめると、

    車体にかかってくる税金の合計 4兆2309億円

    燃料にかかってくる税金の合計 4兆3978億円

このように、税金のちょうど半分は車そのものについて、もう半分は燃料について税金がかかっています。

(なお、2019年10月から制度改正で、新車の自動車税の税率が減税、自動車取得税が廃止、取得税の代わりに創設された環境性能割が1年間軽減、エコカー減税が延長されています。

これは、取得段階と保有段階の税金の減税になります。燃料についてかかる税金は減税はされていません。

持つ分には税金少しまけるけど、走った分については走っただけ払ってね、というところでしょうか)

新車購入時に税金として消費税増税前は合わせて11%だったところ、自動車取得税の廃止により、10%の消費税のみの支払いで済むようになりました。

2%増税、3%減税で1%の減税となっています。もし、これが消費税増税と自動車取得税が2本並立していたら、13%の税金を払うことになりそうだったのを考えると、新車が少し買いやすくなった、と言えるでしょう。

2009年に道路特定財源は使用目的の縛りをなくし、一般財源化されました。

道路特定財源はそれまで、揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、軽油引取税、自動車取得税、地方道路贈与税、石油ガス贈与税、自動車重量贈与税がありました。

取りやすいところから取る? 自動車関連諸税は国の優良な財源

国家予算の8.1%が自動車関連の税金です。

今や産業の基盤ともなっている自動車に対してかけられている税金が国家予算の8.1%ということで、案外低いのかな、と私は思っていました(次の事実を知るまでは…)

実際は自動車税は高いといわざるをえません。

保有段階における税負担の国際比較

前提条件: ①排気量2000cc ②車両重量1.5t以下 ③JC08モード燃費値 20.5km/リットル(CO2排出量113g/km) ④車体価格240万円(軽は127万円)
⑤フランスはパリ、米国はニューヨーク市 ⑥フランスは課税馬力8 ⑦13年間使用(平均使用年数:自検協データより)
⑧為替レートは1€=¥130、1€=¥150、1$=¥112(2018/4~2019/3の平均)
※2019年10月時点の税体系に基づく試算 ※日本のエコカー減税等の特例措置は考慮せず日本自動車工業会調

http://www.jama.or.jp/tax/responsibility/image_01.html

何と、13年間保有するだけでも、そのコストはアメリカの29倍!

比較的、取得する時の税金は平均レベルなのですが、保有するのにかかる税金が高すぎる!

税の構成を見ると、この持っているだけでかかる税金が自動車関連諸税の25%以上だったりしますので、税収としてオイシイのではないかと思われます。

なお、2019年10月の制度改正でも、燃料課税は減税されていません。ガソリンや軽油を入れるたびに入ってくる税金にはメスを入れなかったことになります。

特定財源から一般財源になっていることも考えると、自動車ユーザーのみから取られる税金なのに自動車以外のことについて使われていることと同じですから、公平なのかどうか、課税額の多寡も含め考えてみる必要があるでしょう。

その観点から見ると、燃料課税は特定財源から外れた時点で、取りやすいところから取る税金に変わってしまっている、と考えてもよさそうです。

燃料課税についてはこちら

今後の展望

今後の自動車のトレンドは、

  • 自動運転
  • 電動化
  • 所有から共有

これが確実です。

これらが進むと、いままでの人間が運転しガソリンなどの燃料を必要とする個人が所有することを前提に作られた税体系はどうなっていくのでしょう?

おそらく、車は使うけど、運転しない、燃料も入れない、自分で所有しないことになるので、以下の税金を払わなくて済むようになります。

いらなくなるかもしれない税金

  • 自動車取得税
  • 自動車重量税
  • 自動車税
  • 燃料課税4種目
  • 消費税の一部

燃料課税がそっくり要らなくなった場合、自動車関連諸税の半分が無くなることを意味するので、4兆3千億円が入ってこないことになります

他の税金と合わせると、相当な税収減です。

新たな課税対象(勝手な予想です)

以下は、私が勝手に考えた今後の課税の予想です

  • 車を使っただけで税金が発生するようになる
  • ライドシェア向けの税金がかかってくるようになる
  • モノの輸送にかかった費用が違う税目で税金として上乗せされる
  • 自動車税が高くなる
  • 広く浅くではなく、狭く厚く取る? → さらに車が贅沢品化する
  • もし車に通信会社の通信費がかかるようになった場合、その通信費用の税金が上がる
  • 電気料金にかかる税金が高くなる
  • 充電設備を持つと税金がかかるようになる
  • 何らかの形で自動運転に関する税金がかかるようになる(AIを使用することに税金がかかるような社会になっている、など)

あるいは、冒頭に数字で示した

日々支払っている消費税の2分の1ほどと同等額を車の税金として払っている

という事実から、

  • 消費税を今の1.5倍にする(代わりに自動車関係諸税は全廃する)

という手もありそうですが、自動車ユーザーでない人にも1.5倍の消費税がかかってしまうことになるので、これは現実的ではないかもしれません。

自動車が無くなることはない

どんなに情報伝達手段が発達しても、人間は空間を移動する必要があります

そのための車です。

自動車が無くなることはありません。

その使い方が変わるだけのことです。

税金もまた、時代に合わせて柔軟に、そして適切に変わっていってもらいたいものですね。

燃料課税

燃料に対する課税は高いのか、安いのか、法制度の中身も含めて検証していきます

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