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クルマのブログ

モーターの特徴

2020年2月1日

 増えつつある電気自動車、ハイブリッド車に搭載されているのがモーターです
 好き嫌いに関わらず、今後このモーターと関わらざるをえないでしょう
 なので、モーターについておさらいします

モーターとは何か

 原動機

 自然界に存在するエネルギーを機械的な仕事に変換する装置

 ですので、モーターもエンジンも原動機に含まれます

 モーター

 電気エネルギーを回転運動の機械的な仕事に変換する装置

 内燃機関たるレシプロエンジン(往復運動機関)

 燃料を燃焼させて作り出した燃焼ガスを直接作動流体として往復運動に変換し、回転運動の機械的仕事に変換する装置
 

 動力を取り出す方法の違い

誘導電動機の構造

 5分で学ぶACモーターきほんの「き」より

  https://www.orientalmotor.co.jp/om/knowledge/uroko_ac/ac02.html

 モーター

  電気エネルギー →  磁界の作用でローターを回して最終的にシャフトを回す

 エンジン

  熱エネルギー(燃料を燃やす) →  作動流体を膨張させる →  ピストンを往復させて最終的にクランクシャフトを回す
 
 となりますね

回転運動の制御の違い

  •   モーターは回転運動を磁界のコントロールで制御できる
  •   レシプロエンジンは燃焼のコントロールで制御できる

 となります

  •   モーターは電気エネルギーを回転運動に変換する
  •   エンジンは燃料を燃やして作動流体(燃焼ガス)を膨張させることにより往復運動を起こし、回転運動に変換する

 となるので、モーターの方がプロセスが少ないですね
 エンジンの場合は、燃料を燃やさないといけないし、それによって往復運動を作らないといけない点が違います

それぞれの効率

  モーターの効率とは
   電気エネルギーの回転運動への変換効率
  エンジンの効率とは
   燃効率、燃焼エネルギーの往復運動への変換効率、回転運動への変換効率
 


  となりますね
   
  なんだか、モーターの方がプロセスが少なくて、制御が簡単そうですね

モーターの種類

 直流モーター、交流モーター、超音波モーター、ステッピングモーターなど色々あるようですが、市販車に使われているのは交流モーターのようです

一般的な特徴

  • 直流モーター 制御が簡単、トルクが強い、部品(ブラシ)の消耗に注意
  • 交流モーター 比較的安い、トルクが弱い、制御が難しい、(ベアリングを除いて)メンテナンスがいらないので耐久性がある

 なお、車種により直流モーターを採用している車もあれば、交流モーターを採用している車もあります

車に乗るときの注意は?

 モーターなので、エンジンのように音が出ません
 なので、電源が入っている状態かどうか、ギヤが入っている状態かどうかは気にしないといけません
 また、モーターは始動時から一気にトルクが上がり、回転数が大きくなってくるとトルクが小さくなっていくという特徴があります
 大雑把に言えば、ガソリンエンジンとは逆です
 
 ガソリン車に乗り慣れている人からすると、一気に加速するので戸惑うでしょう

効率はどうなの?

 すなわち、エネルギー変換効率の違いです

モーターの効率

 モーターはその構造から、エネルギー損失が少なくて済みます

  • 銅損失

   電気エネルギーが巻き線(銅)の抵抗により熱エネルギーにかわる損失

  • 鉄損失

   ローター(回転子)やステータ(固定子)の鉄心による損失

  • 機械損失

   ベアリング(軸受け)の摩擦抵抗などによる損失 

 ガソリンエンジンに比べると、損失が少ないです
 エネルギー効率は80%を超えます

レシプロエンジンの効率

 燃焼効率

  燃料の燃焼によって発生する熱の効率

 熱効率

  燃料の燃焼によって発生する熱のうち利用される熱の効率

 燃焼エネルギーの往復運動への変換に関わるロスの数々

  •   排気損失

    排気として捨てられる熱

  •   冷却損失

    冷却のために捨てられる熱

  •    機械抵抗損失

    機械が動作するときの摩擦抵抗

  •   ポンピングロス

    内燃機関の吸気行程および排気行程に発生するエネルギー損失

 内燃機関は燃焼ガスを発生させることがまず目的になりますので、燃焼ガスへの変換効率、と言ってもいいでしょう
 ということなので、燃焼効率を上げるには、空気と燃料の割合を調整し、完全燃焼状態にすること、です

 熱効率を上げるには、圧縮比を上げる、比熱比を上げる

 なので、圧縮比を高くして、燃料を薄くする、さらに、ノッキングを起こさないよう熱のコントロールを行う必要があります

 ガソリンエンジンの熱効率は40%ほどです

 うーん、複雑で大変ですね

バッテリー、インバーターとの関係

 電気自動車が自動車の歴史の中で普及できなかった要因の一つが航続距離の短さであり、その原因がバッテリーです
 バッテリー容量の増大が、電気自動車を実用たりうるものにしました
 ニッケル水素電池やリチウムイオン電池の登場が大きかった、と言えるでしょう

 インバーターは、電気を直流から交流に変換する変換器で、モーターの回転数を制御するためのものでもあります
 インバーターを使うことで、電圧の変圧が可能となり、周波数や電力を調整することでモーターもうまく制御できます
 インバーターを使えば変速機(トランスミッション)がいらないのはそのためです

 つまり

  • 大きな電気を保存するバッテリー
  • 電気を利用するための調整機としてのインバーター

 ということですね

製作に必要な材料

 コイル 銅
 コア 鉄
 絶縁体 ゴム、プラスチック、ガラス繊維など
 永久磁石

 これだけあれば、モーターはできる!
 なお、ステータとして永久磁石を使う場合、レアメタルが必要です
 それは、強い磁石を作るため、です
 最近では、レアメタルを使用しないモーターも開発されています

耐久性は

 車載用モーターの耐久性は、摩擦が起きるところがほとんどないので高い、と言えます
 なので、車自体の耐久性は、ほぼバッテリーの劣化の進み具合と同じ、と言えます

発熱性は

 モーターも発熱します
 熱は、抵抗のあるところには発生しますよね
 モーターにも電気抵抗がありますし、摩擦抵抗もあります
 それらの抵抗は、電流が大きくなっていくと増加していきます
 つまり、出力を増やすと発熱量は増え、モーターの力も落ちていきます

 なお、冷却しないと温度が100度以上に達するようです

 冷却の方法は空冷の場合と水冷の場合があり、ホンダのハイブリッド車は空冷、トヨタのハイブリッド車は水冷のようです

耐水性は

 モーターは電気で動いていますので、水には弱いです
 さらに、高電圧を使用しています
 車内で電源回路が遮断されない状態で冠水すれば、危険です
 モーター自体には水は入り込まない構造になっているはずですが、それ以外の部分で危険が生じます

メンテナンス性は

 電源回路をきちんと遮断して、さらに内部の高電圧回路に蓄電されている電気がなくなっていれば、電気自動車は修理に着手できます

 ただし、部品修理と言うよりは、そっくり部品交換、となりそうです
 理由は、部品が精密でユニット化されているからです
 少なくとも昔の車のようにエンジン調整をしたりする感覚では電気自動車は扱えません

 プリウスの場合、インバーターなどを交換する際、高電圧用の厚いゴム手袋を着用しないと危険です
 素手での作業は危険、高電圧用ゴム手袋着用は必須です

 モーターについて言えば、耐久性が高いので壊れることはまずないでしょう
 壊れた場合、修理、というよりは交換になるのが現実だと思われます

情報技術と相性が良さそう

 ガソリンエンジンの場合、燃焼状態の関係でエンストということがありそうですが、電気自動車の場合、電気が通電してくれればモーターは動いてくれるそうです

 だったら、通信機能が内蔵されていれば、遠隔操作だって可能だ、ということになります

 今後の自動車の流れである、自動運転、電動化、所有から共有、を考えたとき、非常に相性がいいですね
 
 それが、モーターおよび電気自動車が注目されている要因でしょう
 

値段は

モーターの値段は、公表されていないようです
中古ガソリンエンジンの価格が10〜15万円とした場合、それより安いのでしょうか?

電気自動車の場合、その価格のおよそ半分はバッテリーの価格と言われています

仮に、日産リーフと同程度のガソリン車の比較で言えば、
リーフ(2WD、電気自動車)333万円〜
ノート(2WD、ガソリン車)145万円〜

乱暴な計算ですが、
333 ÷ 2 − 145 ≒ 21.5

モーター・インバーター類との価格差は約22万円ということになるので、
ということは、
モーターとインバーター一式で合わせて、40万円から60万円くらいだ、ということでしょうか?

もしこの通りならば、機械としては非常に高いシステムかもしれませんが、その代わりバッテリーのコストが下がっていけば、電気自動車は価格が大幅に下がっていく可能性もあります

考え方によっては、軽の中古車の方が得、という見方もあるかもしれませんけどね…

残る問題

 そもそも効率、という場合、停止時もガソリンエンジンは動いたままです(アイドリングストップ車を除く)
 ハイブリッド車は発電の必要があるときはエンジンが動いたままになりますが、電気自動車にはアイドリング状態はないので、モーターは回っていないことになります
 ということは、ユーザーとして乗る分には、原動機の効率としては、電気自動車の方がエネルギー効率がよく、ガソリンエンジンはガソリンの熱効率の40%よりももっと下回っている、ということになります

 なお、電気自動車のインバーターの効率は70~80%ですので、電気自動車のエネルギー効率は約60%くらいになります

 問題は、全体で見た場合です
 全体で見た場合、電気は発電と送電でロスが生じるので、そのロスを考えると、車で消費された時までのトータルの電気の効率は22パーセントから30パーセントほどでしかない

 ガソリン車は、ガソリンの精製ロスや配送時のロスなどを考えると、車で消費された時までのトータルの効率は32パーセントくらい
 さらに、停車時のアイドリングのロスというのがありますから、確実に32パーセントよりは下回っている

https://thirdwaver.net/2020/01/20/eco-car/

 結局、どっちもどっち、という気がしてしまいます

 あとは、わからないですけれど

 大差ないのなら、あとはイメージとか、車本体の価格、それと燃料と電気料金の価格差が決め手になっていくのかもしれないですね

 どうなっていくか注目です