今回は、税金の話です。
車の燃料には税金が課せられています。
その税金はいったいどのような構成になっているのか、調べてみました。
燃料課税についてのお話
ガソリンを1リットル入れると、そのうちいくらくらいが税金なのでしょう?
全部でおよそ45.7%です。(2018年)
消費税を除いても、38.3%に及びます。
つまり、4割ほどが税金です。
道路特定財源としての燃料課税
そもそも、どうしてこんなに税金が取られているのでしょう?
燃料にかかる税金自体は、当初は現在よりも高くなかったようです。
転換点は1958年、道路整備5ヶ年計画に基づき、道路特定財源というものが加えられました。
これは国および地方の道路整備のために創設されたものです。
道路特定財源の税目は時代とともに追加されていきます。
この道路特定財源はつまり、ガソリンなどの燃料にかかる税金は、全額を道路建設にのみ使う、ということです。
そして、1974年から、税収不足を補う目的で新たに暫定税率が課せられるようになりました。
暫定税率が失効した一時期を除いて、揮発油税が下がったことはありません。
暫定、ということで、一時的な措置だったつもりなのでしょうが、現在まで燃料課税の一部として続いており、廃止されていません。
道路特定財源の内訳は、手元の資料(2004年時点)では、
- 揮発油税(全額)
- 石油ガス税(全額、地方石油ガス贈与税含む)
- 地方道路贈与税(現在の地方揮発油税のこと、全額)
- 自動車重量税(国分3分の2の77.5%、自動車重量贈与税として3分の1)
- 軽油引取税(全額)
- 自動車取得税(全額)
という構成でした。
ここで、ガソリンの価格の中身を解説しておきます。
ガソリンの価格の中身 揮発油税 ガソリン実勢価格に関わらず、1リットルあたり 本則24.3円 暫定税率24.3円 地方揮発油税 ガソリン実勢価格に関わらず、1リットルあたり 本則4.4円 暫定税率0.8円 石油税 ガソリン実勢価格に関わらず、1リットルあたり 2.8円 消費税 ガソリン税と石油税に二重課税 そこに、ガソリン実勢価格 変動 石油税は、温暖化対策税として1リットルあたり2.80円(H28年4月〜)課税されます
(2019年のガソリン価格151.9円で算出)
ガソリン1リットルを入れると、151.9円のうち25.1円(実に16.5%が暫定税率)
消費税の二重課税なので、
(24.3+0.8)*(1+0.1)=27.61円
(暫定税率と消費税で合わせて全体の18.1%が暫定税率による税金)
もし暫定税率がなかったとしたら、ガソリンは1リットルあたり約18%安くなります。
なお、 道路特定財源は2009年に一般財源化されました。
道路特定財源は一般財源化されたものの、揮発油税などがなくなったわけではなく、ただ税の使いみちが見直されただけです。
徴税自体はずっと続いています。
ただ、一般財源化された時点で、当初の目的から離れているわけで、現在では取りやすいところから取る税金に変わってしまっている、と考えてもよさそうです。
燃料課税は高いのか?
燃料課税の国際比較(ガソリン)
あれ?
これを見る限りでは、日本の燃料課税は高くないみたいです。
ガソリンのトータルの価格も、世界的に見て安い方です。
よく比較されるアメリカのガソリン価格が異常に安すぎる、と言えます。
燃料課税の今後
最後に、燃料課税の今後、ということで、燃料による税収の予想です。
日本の石油供給量は以下の通りです。
日本の石油供給量の推移
これを見ると、近年では石油の需要は減少し続けていることがわかります。
車が減ったことや、全産業で省エネ化が進んだことが影響している模様です。
今後の税金を考える時、需要が減っていくのですから、燃料課税による税収は減少していくでしょう。
まとめ
結論、燃料課税は重すぎるわけではない。
日本よりガソリンが高い国はいくらでもあります。
-
-
税収に占める自動車税の割合とその将来
乱暴な言い方をすれば、生活実感として、日々支払っている消費税の2分の1くらいを車の税金として払っている、ということです