all 定期点検 自動車ネタあれこれ

タイミングベルトとファンベルトの違い・調整・交換時期まとめ

2025年11月9日

「最近、エンジンからキュルキュル音がする」
「走行中にベルトが鳴くようになった」

そんな経験はありませんか?
実はそれ、ファンベルトの緩みや劣化が原因かもしれません。
そして見えない部分で重要なのが、タイミングベルト
この2つのベルトは似ているようで、役割も交換時期もまったく違います。

今回は、「タイミングベルト ファンベルト ベルト調整」をテーマに、
それぞれの違いと点検・調整・交換のタイミングを、整備士目線でわかりやすく解説します。


■ タイミングベルトとは?|エンジンの心臓をつなぐベルト

タイミングベルトは、エンジンの吸気・排気バルブとピストンの動きを同期させるためのベルトです。
つまり、エンジン内部の「動きのタイミング」を制御している非常に重要な部品。

もしこのベルトが切れると、エンジン内部でピストンとバルブが衝突し、最悪の場合エンジンが破損します。
そのため、「命綱」と言ってもいい部品です。

▶ タイミングベルトの特徴

  • 材質:ゴム製で内側に強化繊維を内蔵
  • 役割:クランクシャフトとカムシャフトを同期させる
  • 故障リスク:切れるとエンジンが停止・破損

▶ 交換時期の目安

メーカーや車種によりますが、
おおむね10万kmまたは10年ごとが交換の目安とされています。

特に中古車を購入した場合は、前オーナーが交換していなければ要注意です。
整備記録簿で「タイミングベルト交換済み」の記載があるかを必ず確認しましょう。


■ ファンベルトとは?|補機類を動かす「縁の下の力持ち」

ファンベルト(補機ベルト)は、エンジンの動力を利用して、オルタネーター(発電機)・エアコン・パワステポンプなどを駆動するためのベルトです。
最近では、1本のベルトで複数の補機類を回す「サーペンタインベルト(多軸駆動ベルト)」が主流です。

▶ ファンベルトの特徴

  • 材質:ゴム製で溝があるリブドベルト形状が一般的
  • 役割:発電・エアコン・パワステなどを駆動
  • 故障リスク:切れるとエアコン停止、バッテリー上がり、パワステ故障など

▶ 症状のサイン

  • エンジン始動時に「キュルキュル」と音がする
  • エアコンの効きが悪くなる
  • ハンドルが重く感じる
  • メーターパネルにバッテリーマークが点灯する

これらの症状が出たら、ファンベルトの緩み・劣化・亀裂が疑われます。


■ ベルト調整の重要性

ベルトは「張りすぎても」「緩すぎても」ダメです。

  • 張りすぎると:ベアリング類(プーリーやテンショナー)に過大な負担がかかり、寿命を縮める
  • 緩すぎると:ベルトが滑って異音が出たり、動力が伝わらず発電不足になる

▶ ベルトの調整方法

ファンベルトの張り具合は、「テンショナープーリー」という調整機構で張りを調節します。
最近の車は「オートテンショナー(自動調整機構)」を採用しているものが多く、基本的に手動での調整は不要です。

ただし、オートテンショナーそのものが劣化してくると、ベルト鳴きの原因になります。
そのため、ベルト交換時にはテンショナーの同時交換をおすすめします。

▶ 調整が必要なケース

  • 古い車種(手動テンショナー方式)
  • ベルト交換後すぐの初期伸び
  • 長期間ベルトを交換していない

これらの車種では、定期的に整備工場でベルトの張りを点検・調整してもらいましょう。


■ タイミングベルトとファンベルトの違いまとめ

項目 タイミングベルト ファンベルト
位置 エンジン内部 エンジン外部
主な役割 バルブ開閉の同期 発電・エアコン・パワステ駆動
交換時期 約10万kmごと 約3〜5万kmごと
故障時の影響 エンジン破損の恐れ 走行不能や補機停止
調整方法 基本は交換時のみ テンショナーで調整可能

このように、どちらも「ベルト」ではありますが、重要性とトラブル時の影響はまったく別物です。
特にタイミングベルトは切れてからでは遅いため、定期的な交換が何より大切です。


■ タイミングチェーン車でも油断は禁物

最近の車では、「タイミングベルト」ではなく金属製のタイミングチェーンを採用している車種も増えています。
チェーンは半永久的に使えると言われますが、実際にはオイル管理が悪いと伸びて異音や不調の原因になります。

つまり、チェーン車でも定期的なオイル交換と点検は必須です。
「ベルトじゃないから放っておいて大丈夫」と思わないようにしましょう。


■ 整備士がすすめるベルト点検のタイミング

  • ファンベルト:半年〜1年に一度点検、3〜5万kmで交換
  • タイミングベルト:10万kmを超える前に交換
  • テンショナーやアイドラプーリー:ベルト交換時に同時交換推奨

ゴム製品は年数でも劣化します。走行距離が少なくても5年以上経過している場合は要注意です。


■ まとめ|ベルト調整と点検がトラブルを防ぐ

エンジンのベルトは、人間で言えば血管や神経のような存在です。
見えないからこそ、気づかないうちに劣化が進んでいることも少なくありません。

  • 異音がしたら早めに点検
  • ファンベルトは3〜5万kmごとに交換
  • タイミングベルトは10万km前後が目安
  • ベルト調整は専門工場で確実に

ベルト1本でエンジンの寿命が決まる――それくらい重要な部品です。
安全に長く車に乗るためにも、**「タイミングベルト・ファンベルト・ベルト調整」**の3点は必ず意識しておきましょう。

 

ベルトの話

スマホ用

-all, 定期点検, 自動車ネタあれこれ
-, ,

© 2020 クルマのブログ Powered by AFFINGER5